Hiyorimi-Note

■養鯉の文化的考察『補足』

31 Jan 2003 09:11:03
今日は大阪、先週今週となかなか家に帰れません。
先週、ヨーロッパで養鯉が盛んになったのは宗教的な背景があると取り上げたら、読者よりいくつか質問があったので、この話をもう少し掘り下げて見ましょう。
カトリック教会では、受難日である金曜日などを含めて、年に１００日以上も肉料理を食べてはいけないと一般信者に命じておりました．ところが、この期間でも魚料理は認められておりました。そんなことから基本的に肉食文化が色濃い古代ヨーロッパでも、たんぱく源として魚は重要な役割を果たしたわけです。
ユダヤ教では、ウロコの無い魚はダメ。イスラム教では骨の無い魚（そんなの居る？）はダメという例外はあるものの、基本的には白身の魚はＯＫでしたし、キリスト教では受難日の金曜は獣肉はダメで、精進をするために魚を食べる習慣があるわけです。すなわち魚は神聖なもの、という概念が植えつけられておりました。
面白いのは「イエスキリストは神の子」という言葉は「Iesous Christos theou hyios soter」なのですが、何とこれのイニシアル「Ichthys」は「魚」を示します。魚類学が「ichithyology」と呼ばれることはご存知でしょうか？
かように魚は神聖なものと捉えられていたようです。

ところが、海から遠く離れているような中央ヨーロッパでは、長らく冷凍技術や高速輸送がなかったわけで、なかなか新鮮な白身魚が採れません。そこで、にわかに評価が高くなったのがコイです。産地は近いうえ、鯉の場合は鮮度と輸送面で大きなアドバンテージをもっておりました。丈夫なので、エラに時々水をかけさえすれば、生きたまま市場に箱詰で送れたからです。しかも、高価なエサは必要ないうえ、成長がはやい点など他にも優れた点がありました。このように神聖かつ新鮮なネタとなる養鯉は、修道院の事業と結びついて飛躍的に発展したというわけです。

■冬の釣りポイント

30 Jan 2003 06:33:20
九州福岡からの配信です。少しは暖かいと思いきや、東京よりかなり寒いです。
今日はそんなわけで「温度」の話を少々しましょう。浴槽で分かりますが、水は温かくなると表層にあがり、冷たい水は底にたまります。これは温度による水の比重の変化によるものですが、このことは寒い時期の釣りポイントを選択するうえで、重要な示唆を含んでおります。
湖沼や野池の場合、寒い時期とはいえ日照があると、水面近くの水が暖められ、相対的に冷たい水は底に移動します。この結果、止水とはいえ循環水流が発生します。夜間から明け方にかけて、水底近くで眠っていた魚も、日が高くなるにつれ温かい水を探して、「浅場」に移動するも個体がでてまいります。野池にそっと近づくと、「浅場」でのんびりひなたぼっこをしているコイを見つけることが出来ますし、テトラ脇の「浅場」では雑っ魚たちがヒラを打つ光景を発見することが出来ます。
深場に入る個体は多いのですが、口を使わなければ釣ることは出来ません。こんなことから、寒い時期とは云え、そこそこの日照がある時は、「浅場」にいる個体のほうが相対的に水温が高い環境にあるので、むしろヒットする確率は高いという仮説です。寒い時期でも、夕マヅメ頃に「浅場」を攻めれば意外な結果を得ることが出来るかも知れません。

■冬の釣りタイム

29 Jan 2003 07:43:18
魚の食いが立つタイミングというのには、潮汐、気象、ベイト、溶存酸素等いろいろな要素が複雑に絡んでいるのですが、一般的に「時間帯」という見方では、朝晩のマヅメ時というのがこれにあたります。年がら年中、エサを探して動き回っているような魚達ですが、やはり朝と夕方に食欲が増すということは科学的にも証明されております。
ところが寒い時期は、苦労して早朝から釣りに出掛けてみても、夜明け直後はいまいち食いが悪く、日が上がり８時くらいになるとパパッと食いが立つというケースが良くあります。これは水温が確実に影響していると思います。適水温以下の場合、変温動物である魚の活性は、体温（＝水温）に比例しているためです。
そういうことから、寒い時期は夕マヅメを中心にした時間帯を攻めたほうが、釣り人の体力的消耗度も考え合わせると利口のような気がします。さらには、昼間にぬくった水温は日没後もしばらく低下しませんので、これまた選択肢と思います（外気温が日没後ぐんぐん下がるので、冬の夜釣りは健康面からはお勧め出来ませんが…、多分早朝よりは釣果に恵まれるような気が致します。）

■タラコは犯罪？

28 Jan 2003 07:38:46
今日も地方巡業？兵庫県からの配信です。
さて、飽食ニッポンが叫ばれて久しいですが、なかでも日本人ほど魚の卵を嗜好する国民はいないでしょう。ニシンのカズノコ、スケトウダラのタラコ、サケのイクラ等など、相対的に高価であるにも拘わらず、喜んでパクパク食べております。ところが種の再生産を考えたときに、これは最も冒涜的行為にあたります。
ニワトリの無精卵のように、食べるためにいくらでも作りだせるものは、まだ良いのですが、魚の卵というのは子孫を残すという「根源的目的」のためにだけ存在するものです。これを他の食材同様に右から左、ポンポンと口に入れてしまうことは、そろそろ考え直さねばいけない時期になってきているのではないでしょうか？
小生自身も、これらの卵モノは大好きではあるのですが、すこしずつセーブしていかねばと、最近、意を強くしつつあります。

■禁漁期に思う

27 Jan 2003 07:33:34
ここ数年は多摩川の年券を買っているのですが、いままで勝手に勘違いしていた点が有りました。五千円券なのですが、この券で鮎も釣ることが出来るということを、阿呆な話ですが初めて知りました。延べ竿二千五百円、リール竿五千円とだけは意識してたのですが、鮎の料金体系は別物と勝手に思っていたのです。年券に記載してある鮎については、10/15より11/30までは禁漁となっているわけですが、これは産卵期間中の保護にあたるようです。
このことから、今日は「魚の再生産保護」についてちょっと考えてみたくなりました。身近な例では、サケやマス類も人工孵化を通じて、卵の死亡率を減らすような営みが永年続けられてまいりました。これらの経済価値が高いとされている魚は、このように再生産を人為的に「保護」されているのですが、それ以外の魚ではあんまり頓着されていないのは残念な話です。人に対してヴァリュアブルな魚だけに特定の保護策が施され、多様な生態系を形づくる重要な要素である雑っ魚類を軽視することは、あたかもスギ・ヒノキだけを馬鹿みたいに植林して、日本中に花粉症を広げてしまった愚かな政策と大同小異です。この愚策にはもちろんサンフィッシュの放流も含まれます。

環境の世紀と云われる２１世紀。私達はもう少し雑っ魚類の再生産保護について、考え始めても良い時期に来ているのかも知れません。たとえば「ハゼ」などは、都市近郊で採集される魚類では最も美味であり、小生的にはもっと生態学的に目を向けてもいい遊漁＆漁業資源だと感じております。よく「彼岸ハゼ」などと呼ばれて、夏の終りから晩秋まで釣りシーズンを迎えるのですが、年中狙われている対象でもあります。本来は産卵期間になる冬場から春先にかけて禁漁期間にすべしと云いたいところです。食い意地の張った魚ですので、狙わなくても釣れてしまうのかも知れませんが、禁漁期間を設けることで、種の保護について人々の意識が高まることは間違いないでしょう。

■中国産ヨーロッパウナギ

25 Jan 2003 07:28:08
この時期、太平洋側では、名もないような小さな河川でも、暗くなると河口にあやしい人々が集まってまいります。手には網とランプを携えております。
南の海で孵化したシラスウナギが、本能の信号に導かれて川に遡上するために集まってくるのを狙った人々です。これをやるためにはいくばくか入漁料が必要ですが、なにしろシラスウナギは高価、相場はいろいろ変動しますが、グラム２００～１０００円（４～６尾）もするので、一シーズンで結構な小遣い稼ぎになります。ところが、このシラスウナギはとうてい日本人のウナギ需要を満足することは出来ません。養殖モノ入れても、国産は二割に満たないようです。
そして輸入モノの八割は中国から加工品なのですが、その冷凍かば焼のＤＮＡ調査をしたところ、我々が日頃見なれているウナギ（アンギラ・ジャポニカ種）は３割程度、ほとんどはヨーロッパ種だったようです。ヨーロッパのウナギというのは寸胴で太いアレです。メリットはシラスウナギの価格、グラムで約７０円というから国産シラスとは比較になりません。
デメリットは「成長が遅いので出荷まで時間がかかる点＝経費がかかる点」と「水温が上がると水槽に激突して頓死してしまう習性がある点」です。ところが、そこは人件費も安いうえ、広大な野池を使った中国スタイル養殖方法で、これらの欠点をクリアしてしまいました。
何も知らない人たちが「これがニッポンの食文化じゃい」などど考えて、鰻重をかき込んでおりますが、よもや中国産ヨーロッパウナギとは思っていないでしょう。いずれにしても、少しばかり寂しい話です。

■長生きの秘訣

24 Jan 2003 06:51:47
今日明日は九州からの配信になります。こっちも寒いです。
鯉という魚が長寿だということは、誰しも知っております。平均寿命は諸説あって定まらないのですが、３０～５０歳ぐらいではないかという話が多いようです。長いのは百歳以上というからスゴイものです。大きさとの相関となると、環境によって大きく差が出てしまうので何とも云えませんが、大型とされる９０センチ以上は３０～５０年は生きているのではないでしょうか？
さて、鯉の長生きの秘訣は何でしょう。一つには雑食で何でも食らうことが上げられます。エサの選択肢が多いということは、比較的コンスタントに栄養補給が出来ることを意味しております。従って「好き嫌いしない」ということが一つの秘訣。もう一つは咽頭歯があることです。タニシなど硬い貝類も食べるのですが、臼型の咽頭歯でバリバリ摺り潰してしまいます。ここで食べ物を破砕してしまうので、消化系に負担があまり有りません。なにしろ鯉には胃袋なるものがないほどですから。二つ目の秘訣は「良く噛むこと」になるのでしょう。
長生きの秘訣が「好き嫌いしない」「良く噛むこと」だとしたら、これは人間の養生訓にもなりそうです。これにあややり口ヒゲを生やしても多分効果は少ないでしょうが…。

■プロペラ旅客機Ⅱ

23 Jan 2003 07:27:31
ヴィンテージエアクラフトの世界は、奥が深すぎて小生は入りきれませんが、やはり子供時分に羽田空港でみたダグラスＤＣ６が原点だったようです。調べてみたら当時はバンコクまで何と１１時間もかかって行ったそうですから、隔世の感があります。次のＤＣ７まで続いた、一連のダグラス社製プロペラ旅客機は、いずれも地味で平凡なスタイリングでしたが、まあ一種の機能美と云えないこともありません。
マニア的視点になってしまいますが、Ｂ級的旅客機のピカイチ？は、なんと云っても爆撃機Ｂ２９のデフュージョンと云われるボーイング・ストラスクルーザです。あのシイラのような醜怪な旅客機から今日の同社の隆盛を予測することは困難です。
いっぽう、数あるプロペラ旅客機のなかで、小生が選ぶＭＶＰは愛称「コニー」で親しまれたロッキード・コンステレーションでしょう。美しい流線型ボディと、あの独特な三枚の垂直尾翼には、これから始まる旅心をかきたてるものがあります。美しさと性能を両立させた素晴らしいモデルです。米国では、どこかの財団がこの旅客機を保存維持していて、何がしかの寄付をすれば試乗させてくれるそうです。

とかく「高性能ならば良い」「目新しければ良い」という風潮が強いのが世の常ではありますが、一旦戻ってみることで、本質が掴めることも時としてあります。小生が古いシェクスピアのグラス竿や、アブの超定番リールに愛着を感じることと、ヴィンテージエアクラフトに思いを馳せることとは、やはりどこかで繋がっているのでしょう。

■プロペラ旅客機Ⅰ

22 Jan 2003 07:27:57
若かりし頃、メカニックに憧れていた小生。飛行機もカッコ良い今風のジェット機よりも、油臭さを感じるようなプロペラ機が大好きです。戦闘機も好きですが、古～いレシプロやターボプロップの旅客機に強い郷愁を感じてしまいます。
先日、ハワイに行ったときにオールドハワイアンのポスターのなかで、クリッパー飛行艇（ボーイング３１４）の描いてあるパンナムのヴィンテージポスターを見つけて、買うか買うまいか半時間その前で迷ったことを思いだしました。
また欧州に居たときは、大陸内ではフォッカー（Ｆ５０やＦ２７）のフライトを好んでチョイスした記憶が有ります。低高度なので天気がよければ眺めがキレイですし、欧州名物の厚い曇天ならば雲海を滑るように飛ぶ飽きないフライト。そして悪天でも揺れはしますがあんまり不安のないフライトでした。(^_^;
小生としては、もし二時間以内の空の旅ならば、旅情を満喫できるプロペラ機の旅を強くお勧めします。小生は松本零士の戦記ものや、宮崎アニメが好きですが、そのなかにプロペラ機や飛行船が登場することも、その理由の一つです。メカなのに人間臭さを感じるからでしょう。

時は移り現代。我がニッポンでもＹＳ１１の後継機でカナダ製ハイテクプロペラ機「Ｑ４００」が登場しました。この飛行機は低騒音、低燃費を売り物にしていて、イニシャルの「Ｑ」はクワイエットから取ったようです。鹿児島～大阪、高知～大阪、高知～福岡などに就航するようなのですが、あいにく同方面には所用がありません。できれば離島線などに拡大してくれれば、遠征釣行を計画して必ず乗るチャンスを作るのですがね。

■チェコのコイ漁Ⅱ

21 Jan 2003 07:52:03
流通に適した（というより市場が好む)サイズのコイは、１．５キロ近辺。年で云うと三歳ものです。養殖池に放流される魚は一年もので、漁（かい掘りに近い）は二年スパンで行なわれますので、その時にはだいたいこのサイズになるようです。
その年の水温が高かったりするとコイは成長し過ぎ、大きくなってしまいますので、最大マーケットであるドイツ語圏では売れません。そういうものは国内市場に流通されるようです。
養殖池で飼育される（と云っても放牧イメージ）ものはコイだけではなく、カワカマスやカワスズキ、あるいはウナギやソウギョなども比率は少ないものの居るそうです。面白い事に、カワカマスのような肉食魚を混養させると、緊張感が増すのかどうか、不思議とコイの生育や活きが良いという、伝承的なデータがあるようです。
また、かい掘りに近い形での漁なのですが、なにしろ伝統的漁法なので、二割ぐらいは網から逃げてしまうそうです。これが二年後にさらにでかくなり、そしてまたニ割がするりと逃げていくと、やがて巨ゴイになっていきます。これですと食用には向きませんので、彼らは遊漁者用の釣り堀（とはいっても数キロ四方）に放たれます。そこで釣り人たちのファイターとして余生を過ごすことになるそうです。
まあ、このようにコイをじっくりと育成して活用していくという、養コイ立国チェコならではのシステムに、すごいと感じ入ってしまいました。もともとチェコという国は好きでしたが、このコイに対する思い入れの深さを知り、ますますこの国に傾倒してしまいそうです。

■チェコのコイ漁Ⅰ

20 Jan 2003 07:51:38
コイ料理というものが宗教的に禁忌で無いことは以前取り上げました。これはカトリックだけではなくイスラムやユダヤ教でも同じようです。熱心な信者や僧侶にとっても貴重なタンパク源となるわけです。
チェコという国は内陸国家であるにも拘わらず、巨大な漁場を抱えております。それが国中にあるコイの養殖池です。池と云っても大きいものは何と６００平方ｋｍもあるそうですから半端ではありません。もともとは、中欧の大湿地帯をみたカレル四世が「養殖池を増やして漁業を国の産業に」という英断で始めたわけですが、前述のノンタブー食材としても、その拡販はうなぎ上り。まさに内陸の一大漁業国となったわけです。
漁業が反映するためには、漁場だけでは不足です。それを維持運営するノウハウが不可欠です。チェコは古くは都市国家の名残でギルドがあって、なんと漁業者のギルドまであるそうです。その漁業魚ギルドが極めて厳格にコイ漁業を管理運営している点も言及しなければなりません。例えば伝統漁法の維持普及、水質や漁区の管理、漁具や機械の管理保全、稚魚の孵化放流などの分科会に分かれて、何百年も受け継がれているようです。
考えてみれば、チェコ人というのは最も優秀な民族の一つとされていて、特に科学技術面では傑出したものを持っておりました。かの「ロケット」とか「ロボット」というのはチェコ語起源であることを知っている人は多いでしょう。養鯉についても、その民族的才能をいかし、産業として素晴らしいノウハウを確立したようです。

■ナクル湖

18 Jan 2003 09:13:00
この湖の名前を知っている人は、かなりの環境問題通かもしれません。アフリカにあるこの湖は、この大陸としては小さい部類なのですが、ここで起きたことは生態系というものが如何にナイーブかを示す貴重な資料になっております。
この湖の水は、ＰＨ９～１１というアルカリ性で、且つ水位変動（０～４ｍ）が激しく、それによって塩分濃度がかなり上下するといった特徴をもっております。このため、底生生物も魚はおりませんでした。ただラン藻だけは、このような環境でも生長するので、この湖の一大勢力としてはびこっておりました。そして、面白いことにラン藻はフラミンゴの好物で、ナクル湖に行けばフラミンゴの大群が見られました。
ところが、ある年にティラピアが試験的に移入されたのです。マラリア蚊対策のためのようですが、幸か不幸かティラピアはこの妙な湖に適応、どんどん繁殖してしまいました。そうなると湖には、ティラピアを狙って、いままで居なかったウやペリカンが大挙してやってきました。しかもティラピアのエサはラン藻です。エサはフラミンゴとバッティングしてしまいます。ペリカンの大群に押され、ティラピアにエサを取られて、有名だったフラミンゴは激減。たった一種類の魚の導入が湖を取り巻く生態系を大きく変えてしまったわけです。
近年、フラミンゴはまた少しずつ戻ってきているという報告もありますが、往年の生態系はもう蘇ることはないでしょう。小生がよく使う言葉ですが「人は時として理路整然と過ちを犯す」ということが、ここでも云えるのかも知れません。<

■レトロソーセージ

17 Jan 2003 08:34:40
以前にも取り上げましたが、クジラ肉の入ったソーセージが「ポプラ」というコンビニで打っているのですが、あいにく西日本での販売だけということで食する機会を失っておりました。
先日、九州のほうに出張で出掛けたら、ホテルの隣にこのコンビニを発見。さっそく入ってみましたら、あるある。これ以外にも面白そうなソーセージがいくつかありましたが、当初の目的通り、この鯨肉入り「レトロソーセージ」をゲット。一本１５０円也。
販売は昨年ＩＷＣ大会のあった下関市にある「マル幸商事」。いまや高級品である鯨肉（ミンク）の比率はわずか１０％、主体は魚肉（イトヨリ、ホッケ、タラ他）です。値段を考えますと仕方ないところでしょう。ガブリとかじってみると、ちゃんとクジラの歯ごたえが…。まあまあの味でした。諸兄も九州出張のときにはＢ級お土産で買うべし。
（小倉駅ホームのキヨスクでも売ってました）

■逆転の発想

16 Jan 2003 07:24:52
また寒さがぶり返しました。こんなとき魚釣りに行っても、寒風吹きすさぶ河原や浜辺で「なんで俺はこんなところでこんな事をしているのだろう」と自らを省みたくなるような気分になったりするものです。
でも、ものは考えようです。冬は寒い、寒いから魚の活動範囲は狭まる。従ってポイントを押さえれば、いい釣りが出来る。という具合に考えるとキアイも変わってまいります。事実、川でも水温が１０度を切るようになると、魚はかなり偏在します。地下湧水のあるところ、温排水が流れ込むところなどには魚が集まります。従ってこのような場所を絞り込んで攻めれば効率的な釣りが出来るはずです。ここまでは教科書的です。
体験的には、これに加えて、流れがあって酸素供給がキチンと出来ているような所が、チェックポイントに入ります。嘘みたいな話ですが、多摩川では瀬尻のような場所に居るコイのほうが、むしろ淵の深場に居るコイよりも活性は高い感じが致します。これは雑っ魚も同じ傾向のようです（感覚的にはサブそうですがね…）
ということで、冬場はハイシーズン以上にポイントの選定が鍵になります。小生としては、冬は先ず瀬尻のポイントを中心的に攻めても面白いという気がしてますが如何でしょうか。
（…とはいえ、初釣りで攻めたのですが、無念にもＢＯＺでした…。腕の要素も重要ということも忘れてました(笑)）

■欧州大鯰

15 Jan 2003 07:04:09
正月、ＴＶのチャンネルを回すと、高橋克典がカザフかどこかで「ヨーロッパオオナマズ釣り」をしている番組が有りました。釣りをあんまりしてないタレントだった気がしますが、竿裁きはなかなかのもの、何と初挑戦で１８７センチのナマズを仕止めてました。
大きくなると２５０センチ前後のものが出るそうです。一生に一度でいいので、こんなものを釣ってみたいものです。ちなみに食べるには１ｍぐらいのが、肉も柔らかく美味いそうです。
川の大物というと、とかく南米アマゾンが有名ですが、お膝元ユーラシア大陸にも淡水大魚の潜む河川湖沼がかなりあるようです。今年はひとつこの辺りも勉強してみようかと思っております。

■台下のセイゴ

14 Jan 2003 08:28:20
正月に読んだ釣りエッセイで、長谷川登著「鯰に始まり鮎に終わる釣り人生」がありました。独語学者が書かれた文章だけあって、描写が正確でなかなか面白い本でした。著者は子供時代、市川の真間に住んでいたそうで（小生の生まれ故郷）、竿を使って初めて釣ったのが自宅前の川（いまやどこにもあるドブ）でゲットした大鯰だったそうです。まあ昭和五年ごろと云いますから、七十年以上前の話ですが…。
江戸川放水路のハゼとか市川橋の野ゴイとか、当時の氏のテリトリーは小生とかなりダブっているのです。ただ一つ気になったのは「台下のセイゴ」というエッセイです。この「台」というのは、国府台（こうのだい）という台地で、当時は陸軍錬兵場などがありました。この付近で江戸川が台地に当って右カーブしています。河岸は崖になり、深みや沈床が点在しているので、絶好の鯉釣りポイントです。実はこの台地のうえには小生が通った高校もあるので、この場所には想い出が沢山あります。
今でも有名な鯉釣り場ですが、興味深いのは、エッセイの中でフッコ級のセイゴを仕止める描写があることです。当時この付近までシーバスがコンスタントに遡上してきたことを示しているわけです。
ところが昭和三十年、放水路に河口堰が出来てから海水の影響は少なくなり、ジモティでもある小生が見聞きした限りでは、近年この付近でシーバスを釣るのはかなりの低確率になってしまいました。河口堰が出来ると汽水域が減り、そして河川の包容力が減るということを、計らずもこのエッセイから再確認することが出来ました。

■日本人と川魚

13 Jan 2003 10:53:06
折角の好天続きなのですが、家族が風邪のため身動き取れず。川にもスポーツ観戦にも行けないという、実に冴えない三連休になってしまいました。(T_T)
さて今日は魚食文化の話を少々。小生の尊敬している横尾忠則氏の対談集に、仏教医学の研究家「岩淵亮順」氏とのそれがあるのですが、その中で岩淵氏は「日本人は小魚、強いてあげれば川の小魚を採るべし」と明言されているようです。ところが、残念ながら今日のニッポン食文化は、そのほとんどを外国に依存しているのが現状です。主要国で、これほど自給率の少ない国もまた珍しいものです。穀物がひどいですが、魚介類も一緒です。
たしかに日本の内水面は限界まで疲弊して、その生産力だけではとうてい支えきれません。
岩淵氏は「食べ物でその人間の運勢は変わる」と云っておりますので、いまのニッポンが元気のないのは、もしかしたら根っこのない食文化に因を発つものではないのでしょうか。

■竹、節ありて強し

11 Jan 2003 07:35:43
これは和竿作りで有名な「東作」の竿師の言葉です。小生は和竿にはとんと無知ですが、節が多いほうが粘りや強さが出てくるそうです。例えば竹の石鯛竿などは三間一尺ぐらいで１４節もあります。また柔らかさが身上の真鮒竿なども、手元の継をみると節がやたらにあったりもします。
竿師は、これを人生に例えて「節目節目に苦労したりするから人間は強くなる」などと感心するようなこと書いておりました。個人的には、たしかに節目の全然ないような人間では、ちょっと頼りないような気もしますが、まあ人間として大したこと無くても、苦労しないで済むのならそのほうが良い人生では？と早速日和ってしまうのですが…。
剛竿で大物釣りもスリリングですが、柳のようなフニャフニャ竿でのんびり小物釣り、というのもまた楽しからずや。

■水木しげるとラバウル

10 Jan 2003 07:35:38
前にも紹介しましたが、生田緑地にある岡本太郎美術館で開催していた「ニューギニア展」に行ったときに、水木しげる氏の特集コーナ－がありました。途中、連合国側に組した原住民に追いかけられ大ピンチとなっているところで、手記が途切れていたので、その先がどうにも気になっていました。

都内の図書館で、ようやくそれ以降のエッセイ集を見つけることが出来、数冊一気に読んでみました。ラバウルに「最後の新兵」として派遣され、爆弾で片手を無くすなど、ひどい目にあった水木さん。それでも水木さんの第二の故郷はニューギニアのようです。
手足を無くし、第一線で使えない兵隊があつめられたキャンプで、近くに住む心穏やかな原住民と仲良くなり、終戦になって帰れ帰りたくないで、ひと悶着あったようです。
マラリアで死線をさまよったときも、いろいろと果物を頂き助けてもらったようです。
何もないジャングルで出逢えた親切な人々、おおらかさ、穏やかさ、このような世界に居ると、いったいどこが楽園で、何が幸せなんだろうという達観が心を支配してしまうようで、後年、氏が描いた多くの妖怪劇画に漂う、なんとも言えない安らぎのような空気が、おそらくは氏のこのような体験から来ているものなのかも知れません。

■ＭＲＩ

9 Jan 2003 07:43:55
今日も地方巡業、九州から配信です。
やたらに頭が痛かったので、かかりつけの医者に騒いだら「それじゃあ念のためＭＲＩで診てみましょう」ということになって、先日、生まれて初めて頭部ＭＲＩ検査なるものを受けました。これは画像診断装置の一つで、通常はＸ線（レントゲンやＣＴ）や超音波でみるところを磁気で診るというものです。Ｘ線などに比べると身体への影響は少ないうえ、なにしろ精度がスゴイ。横になって、磁界がグルグル高側回転している土管のようなトンネルのなかを通過するだけですが、頭をスッパリスライス状に輪切りにされたキレイな画像が次から次へと出てくるので、診断はすごく簡単（だと思う）。
お蔭様で心配していた血栓、出血もなく一安心。けれども「頭のなか、きれいサッパリと何もないね～」と医者に言われると、多少フクザツな心境でした。(笑)

■伍萬打御礼

8 Jan 2003 07:18:40
確か一年前に三万ヒットに達して大喜びしていたと記憶してますが、とうとう五万の大台に乗せることが出来ました。近年はあんまりヒットカウントは意識しないで「とにかく書きたいことを書きたいまま書いていこう」ということで、カウンターもトップページの下のほうに置いておりましたが、五万打が近づいてきたので、こっそり年明けから元の位置に移動させておりました。いざ超えてみるとやはり感無量です。
言うまでもなく、これも訪問して下さった皆さまのお蔭で、心より感謝御礼申し上げます。これからも、気負わずにフラフラと、魚、自然、その他、ニッチであやしいテーマを取り上げながら続けていく心積もりです。今後とも宜しくご支援のほどお願い申し上げます。

■冬の風物異変

7 Jan 2003 12:03:27
旧聞ですが、木枯らしの吹く昨年暮れの一日、近所にチャリで買物に出掛けた矢先、あやうく道路に居た虫を踏みつけるところでした。黄緑色の細長い奴、良く見てみると何とカマキリです。冬の風物詩といえば枯れ草に揺れるカマキリの卵だと思いましたが、まさかこの時期に成虫に相まみえるとはビックリ。たぶん何処かで人工的に孵化させたものでしょうが、本当に自然孵化しているとしたら、温暖化もここに極めれリという感じです。

■三つのテキトー

6 Jan 2003 06:45:57
今日からお仕事ですが、サラリーマンに人気があるＴＶで「プロジェクトＸ」というのが有ります。逆境のなか、歯を食い縛って成果を生み出していくというテーマが毎回取り上げられ、とくに管理職以上のサラリーマンには熱狂的なファンがおります。いうなれば「目的達成型人生」の美しい形が、心をくすぐるのでしょう。
でも、日和見主義を全方位に標榜する小生としては、この手の番組コンセプトはどうにも苦手です。一つの目的に向かい邁進することで、他にもある多くの大切なことを見失っているのでは？という疑念が頭によぎるからです。目的を達成すれば善で、達成できなければ悪ということなのでしょうが、この世の中それほど単純ではないはずです。

近年、企業のリストラが進み、大勢の中高年者が心の病にかかったり、あるいは最悪、命を自ら断ってしまうというケースが激増しているようです。勝ち組、負け組というニ分類で良く評論されておりますが、これはけっこう硬直的な見方ではないでしょうか？
もしかしたら見方次第では勝者はそうではなく、敗者も存在しないという場合もあるでしょう。要は当事者の心の在り方一つで変わってしまうものだと思います。
弘兼憲史氏の言葉を借りると「まあいっか」「それがどうした」「人それぞれ」この三つの意識を持っていれば、かなりの逆境でも潰されることはない、ということです。小生的日和見主義なるものも似ていて、云うなれば柳のような存在感です。こだわりは一見カッコ良いのですが、こだわればこだわるほど硬直的になってしまい、ちょっとした負荷でポキンと折れてしまう脆さと表裏一体です。先のことは誰も分からないので、無理に決めつけることは殆ど意味のない話です。
世の中で変わらないものは、今日一日が終れば夜になり、やがて朝日がのぼり、また新たな一日が始まることぐらいでしょう。上にあげた三つのテキトーな意識をいつも持っていれば、ご立派では無いかもしれませんが、そうそう不幸な人生にはならないはずです。

■風邪と気温

4 Jan 2003 13:40:33
今日は、この一年間で太陽と地球の距離がもっとも短くなる日だということですが、あいにく北半球、緯度には勝てず天気は良いもののさぶい一日です。
今年はインフルエンザが流行するとかしないとか巷で騒いでおりますが、風邪というのは寒いからかかる、と勘違いしている人がけっこう多く居ます。寒いからかかり易いと云うことならば、北海道や東北は風邪だらけになりますが、そんな分布はありません。
風邪もウィルスなので、その生息条件のよしあしに活性は反映します。ウィルスが好きなのは、温度ではなく「乾燥度」です。冬になると乾燥する。湿度が５０％を切るようになるとウィルスの活性が上がってきます。
寒い外だから風邪を引くのではなく、閉めきって暖房をがんがん入れていて乾燥しきっている屋内や車内でこそ、本当は一番風邪にかかりやすいということになるのです。最近はエアコンの普及で真夏も室内は乾燥しているので、夏風邪が多くなっているのは、どうやらそんな理由らしいです。
ということで、いつもでも暖かい部屋のなかにたごまって居ないで、フィールドで遊べば風邪は吹き飛んでいくでしょう。（でも辛い…という方々は、まあ、せいぜい暖房は控えめにということでしょうかね。）

■ブラックバッス

3 Jan 2003 06:29:54
年末に読んだ本のなかに、赤星鉄馬氏の同書がありました。小生自身は日本の内水面生態系を脅かしている幾つかの要素のうち、バスの違法放流は決して小さくない影響を与えていると信じておりますが、反対側というより同魚移入の当事者でもある、赤星氏の見解も理解しておきたいと思ったからです。
氏の存命中、既にバス害魚論が湧き起こり始めていたので、それに対しても反論を加えておりました。案の定というか「バスの移入は基本的には全く悪くはない」というスタンスでした。人それぞれとは云え看過するには大きな問題なので、氏の意見をちょっと反芻してみました。どうやら一言で云えば「人間のためになれば害魚ではない」というのが趣旨のようでした。この「人のため」というのは「食味」であり、「釣り味」ということになるのでしょう。
氏曰く「ウナギやアカダイも貪食なので同類」というロジックは噴飯ものですが、氏の頭の中には、経済価値のない雑っ魚類はほとんど入っていないということが良く分かりました。生き物に「価値」という序列を作る神経は、残念ながら小生の理解を超えたものでした。この魚を良く研究された点は、本から伺い知ることが出来ましたが、やはり人の判断は当てにはならないということが、あらためて理解することが出来たのは収穫です。

■元旦紙評論

2 Jan 2003 06:28:50
元日各紙を今年もかき集めて読んでみました。社説を解説しようと思ったのですが、いずれもあまりにも低レベルなので評論すらイヤになってしまいました。敢えて上げれば、歴史観に立った読売新聞の社説が一番まともでした。たしかにフーバー大統領も小泉首相も構造改革派（実態はともに緊縮財政主義）でした。そして前例の先に待っていたのは何でしたでしょう。歴史が繰り返さないことを祈るばかりです。

さて、一般記事の中で光ったのは、朝日新聞に載った、江の島水族館アドバイザーの中村元さんのインタビュー記事でした。アシカの社会になぞらえて、現代社会に鋭い提言を行なっておりました。アシカの場合、平和な海岸では、強いオスだけが一夫多妻のハーレムを享受できるそうです。ところが、サメが出るような海岸では、大胆なアシカから襲われてしまい、臆病な個体だけが子孫を残していくそうです。この多様さが種を存続させてきたことを説いておりました。
グローバル化、画一化の流れのなかで、異能が弾かれていくような社会は一見強そうですが、脆さを同時にはらんでおります。「うっそ～」「信じられない～」「ださ～い」などの言葉には、均質化礼賛が背景に感じられます。そうではなく「へぇ～っ」「すご～い」「えらいね～」などと、異質なことを認めていくようになれば、日本社会も足腰が強靭になっていくはずです。

■まだまだ晩秋

1 Jan 2003 08:16:45
あけましておめでとうございます。今年も宜しくお願い申し上げます。

例によって「新年の目標」を今年も考えてみようかとも思ったのですが、最近「目標型行動指針」にはギモンを感じ始めている小生。これでは日和見の信念？とは矛盾してしまうので、敢えて今年は「新年の目標は作らない！」ということでスタートすることにします。日和見ノートも魚釣りも、フラフラとテキトーに、その場その場で思うままに進めてまいります。

さて、今年用に買ったカレンダーのなかでお気に入りなのが、なぜか旧暦、月齢を主体とした天体カレンダーという妙なやつ。これをボケッと見てみると、なかなか面白いことが書いてあります。たしかに今日は太陽暦では「新年・元旦」ということなのですが、我が国がこれに変わったのは僅か１３０年前です。それまでの長い期間は、天球や月の動きに連動して暦を作っておりました。百姓の国ニッポンとしては、これのほうがリーズナブルだったのでしょう。このときも「グローバリズム」に犯されてしまったようです。

思うに、魚釣りという自然を相手にする道楽でも、この旧暦というのは無視できない存在なのではないでしょうか？
そもそも魚の行動パターンは、太陽よりも、むしろ月に影響を受けているようですから。そういう点では、今日は旧暦ですと、まだ11月29日になります。釣りをしている人には分かる話でしょうが、水の中はまだ晩秋。まだまだ大物を狙える時期です。人間の都合で、後年勝手に作った暦にだまされないで、今月はじっくり大物を狙ってみませんか？

[ Back ]